2)制限行為能力

・制限能力者とは、「制限行為能力者」とも呼ばれ、自らの意思に基づいて判断ができない、または法律行為をすることのできない者のこと。 民法20条では、「制限能力者」は具体的に未成年者、成年被後見人、被保佐人、同意権付与の審判を受けた被保佐人としている
※制限行為能力者の行為:取消し可(善意の第三者へは対抗可)

①未成年者:満18歳をもって成人とされ(民法4条)、17歳までを未成年者と言います。 未成年者は、制限行為能力者とされ、その利益を保護するために、保護者などの法定代理人の同意を得ずにした契約は、未成年者自身又は法定代理人が取り消すことができます。
※単独では有効な法律行為をすることができない

例外
)①保護者の同意を得た場合。②単に権利を得(贈与を受ける)義務を免れる行為(債務の免除)処分を許された財産の処分営業の許可を受けた営業上の行為

②成年後見人:精神上の障害により判断能力を欠くとして、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた人と定義されています。
※単独では完全に有効な法律行為をすることができない
例外)日用品の購入その他日常に関する行為は単独で有効に行為することができる。

③被保佐人:家庭裁判所の審判により、一定の法律行為をするに当たって、保佐人のサポートを受ける必要があるとされた者をいいます。 保佐が開始されるのは、本人やその家族などから申立てを受けた家庭裁判所の判断により、本人が「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分」の状態にあると認められた場合です。
※単独では有効な法律行為をすることができる。

④被補助人:精神上の障害があるために、補助人を付けられた者のこと。 精神上の障害により物事を判断する能力が不十分である者について、家庭裁判所は、本人・配偶者・親族などの請求に基づいて審判を行ない補助開始の決定をし、補助人を職権で選任する
※単独では有効な法律行為をすることができる。
例外)家庭裁判所の審判で定められた特定の行為のみ、単独で法律行為ができない。(補助人の同意が必要)

 




原則 単独では有効な法律行為(契約)をすることができない
例外 ①保護者の同意を得て行った場合
②単に権利を得(贈与を受ける)、義務を免れる行為(債務の免除)
③処分を許された財産の処分(小遣い)
④営業の許可を受けたその営業上の行為





原則 単独では完全に有効な法律行為(契約)をすることができない
例外 日用品の購入その他日常的に関する行為は、単独で有効に行為をすることができる



原則 単独で有効な法律行為(契約)をすることができる
例外 財産上重要な行為については単独で法律行為(契約)をすることができない(保佐人の同意が必要)
財産上重要な行為とは
①元本を領収し、または利用すること
②借金をしたり、保証人になったりすること、
不動産または重要な財産の取引(売買等)
④新築、増改築または大修繕をすること
⑤相続の承認・放棄または遺産分割をすること
宅地5年、建物3年を超える期間の賃貸借契約をすること等



原則 単独で有効な法律行為(契約)をすることができる
例外 家庭裁判所の審判で定められた特定の行為のみ、単独で法律行為(契約)ができない(補助人の同意が必要)

【保護者の権限】

制限行為能力者 保護者 同意権者 取消権 追認権 代理権
未成年 親権者

未成年後見人
(法定代理人)

成年被後見人 成年後見人
被保佐人 保佐人
被補助人 補助人

〇は権限が有り ▲は家庭裁判所の審判により付与することができる

【制限行為能力者の相手方の保護】

制限行為能力者の詐術 制限行為能力者が、行為能力者だと信じさせるために詐術を用いたときは、取消権は認められない。
法定追認 追認できるものが、下記の行為等をしたときは、法律上、追認したものとみなされる
①自分から契約の履行をすることと
②相手方に履行を請求すること

 

 

制限行為能力者の過去問 腕試し